雑KiN3-改

ここは自分にとっての過去ログです。すなわち、他人にとっては単なるゴミ。

 ここしばらくかかって読んでいたトルストイの「アンナ・カレーニナ」を読了した。光文社の古典新訳文庫。電車の中だけで読んでいたから細切れで時間もかかったわけだ。こういうロシア物はちゃんと読んだことがない。なんとなく印象が暗そうだったので敬遠していた。あらすじも知らなかったしな。それでも何で読み出したかというと太古の昔に好きで読んでいたシリーズで引用されていたことがあった。たったワンシーンなのだが。それ以来長年気にはしていたが、その当時からすると考えられないくらい図書館というものに縁が無い状態に置かれ続けていたので読む機会がなかった。それが昨年、このシリーズで出たので、やっと読むことにした。


 全部で八部に分かれるというのも今回読んで初めて知った。思っていたよりも近代の話だったのには面食らった。時代劇のつもりで読み出したら明治以後の話だったと言うような。複数の筋が絡んで流れてゆくので視点が飛んで読みづらかった。7部の終わりであのような幕切れを迎えたのには驚く。暗いな。本当にやりきれない。付録の解説にもあるように確かにあそこで切れていても話としては体裁が整う。しかし、8部はあって良かった。考えすぎてもノイローゼになるだけ、素直に生きてゆけば良い、というように取れた。8部がこれを打ち出しているから、最初からそこまで延々と続いている鬱陶しさが解消された。ちょっと神秘主義的な物言いのようにも感じられないではなかったが。ともあれ長年の課題が果たされた。